21世紀をたのしむ「昴」俳句会
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昴題詠  夏帽子、蟻  早瀬 秋彦 選
2008-10-29-Wed  CATEGORY: 昴 9号
昴題詠  夏帽子、蟻  早瀬 秋彦 選

 道官 佳郎
天守堂に脱ぐ夏帽子耶蘇の島
あと戻り出来ぬ歳月蟻地獄
ほととぎす流人の墓に島の酒

 篠田 重好
麦藁帽冠りしルノアールの女
麦藁帽買うて火の山登りけり
蟻達が豆の芽囃し踊すなり(熊谷守一の絵より)

 岡田 律夫
蟻の行絶えずラインの源流地
使命あるごとく碑攀づる蟻
夏帽子かむり若やぐ母なりき

 小林 量子
悩みなどないとうそぶく夏帽子
蟻走る義経奥州首途かどでの地
未練断つ背を向けてをり夏帽子

 長沼ひろ志
黄泉を知る蟻ン子なれば傷めざる
天金の書を抱くをとめ夏帽子
麦稈帽父坐すかぎり壁にあり

 西村 友男
蟻地獄人の裏側見えかくる
わが過去を鏡に問ひし夏帽子
戦争の紙面を過る蟻の列

 伊藤美沙子
山蟻の鞍馬に義経飛翔石
蟻の群れよろめき出づる爆心地
日光月光をろがむ老いの夏帽子

 仁木 孝子
蟻の門と渡り「田舎教師」の墓の前
夏帽子夫の枢に杖もそへ
一言が心残りの夏帽子

 森田 幸子
夏帽子虚勢の貌をうづめ来し
晩学の終り見えざり蟻の列
正夢はなべて速足蟻の塔

 神戸 和子
マネキンの斜めにかぶる夏帽子
着流しにカンカン帽の父の影
時を惜しむ働き蟻の定めとて

 星 道夫
担ぐ蟻手ぶらの蟻のまじりけり
紙飛行機蟻を散らして降りたちぬ
夏帽子むかしの空は青かつた

 岸本 正子
玉の井や夏帽よれにし荷風の影
白蟻の巣くふ胸内や流行追ふ
銀座暮色夏帽斜はすの父の影

 伊澤トミ子
夏帽子サントワマミー唄ふ母
高原のおしやれの極め手夏帽子
夏帽子青春の傷残しをり

 森 万由子
蟻の世も人の世に似て列を組む
さよならとそれつきりなる夏帽子
特命のありしか蟻のUターン

 齊藤眞理子
椰子の葉の夏帽子編む昼下がり
ユーカリと赤き蟻塚コアラの地
見はるかす赤銅色の蟻の塔

 高松 守信
畑仕事夏帽子の影黒く添ふ
おのが道探して一途迷ひ蟻

 小林貴美子
家なく墓なき故郷に脱ぐ夏帽子
蟻の列祈りの相伝受けてをり

 藤原 香人
夏帽子抱きてめぐる薬師寺展
扁額を拝す門前蟻の列

 久保田シズヲ
一人旅派手を承知の夏帽子
頭はち合せ蟻にも礼儀ある如し

 國分 利江
蟻二匹這ひ登りゆく磨崖仏
母呼べば子等のかけゆく夏帽子

 吉田美智子
入日中鉄塔を行く蟻一つ
兄弟の車窓に並ぶ夏帽子

 藤沢 正幸
夏帽子見渡す海の真つ平
蟻の道みな大いなる物かつぎ

 大竹 仁
余生とはあみだに被る夏帽子
組織論蟻に学びし戦中派

 山地 定子
お似合ひのひと言で買ふ夏帽子
蟻の穴覗いてみたき地下組織

 内藤 潮南
釣宿の宴の席や蟻の列
信濃路を列なし行くや夏帽子

 小能見敦子
旅支度妹の形見の夏帽子
大物の獲物曳きゆく蟻の列

 會澤 榮子
蟻の列昭和天皇記念橋
颯爽と飛行機へ乗る夏帽子

 今井千穂子
安曇野の百円バスや夏帽子
出逢ひ頭人生を問ふ蟻の列

 土田 京子
手拭ひを取り夏帽の父来たる
ひそと告げし蟻あり列の乱れゆく

 渡辺 二郎
夏帽子くるり振向き笑まひける
走る蟻人は五欲の迷ひ道

 相澤 秀司
夏帽子馭者の隣りで娘が手振る
草刈るや新し巣穴に蟻の列

 西田 綾子
車椅子夫婦揃ひの夏帽子
飽きもせず子は見てをりぬ蟻の道

 小山けさ子
閉じ込めし千曲の風や夏帽子
退院の一歩に絡む蟻の列

 田中 洋子
医師の話ぢつと聴きゐる夏帽子
辿り来しわが道程や蟻の列

 北島美年子
夏帽子大釘ひとつ残りけり
蟻塚をなだらかにして雨上がる

 福冨 清子
人工衛星まだ捉へずよ蟻の道
日光月光御前に脱ぐ夏帽子

 佐々木久子
チョモランマへ聖火かざして蟻の列
戻りきし我が愛用の夏帽子

 石井 深也
髪の毛の長き女の夏帽子
行列を時には外れる蟻のをり

 鈴木 昌子
箒目を素早く通る蟻の列
父と子の生活にも馴れ夏帽子

 井上  元
夏帽子あたまの記憶かさね来し
石山寺いしやまの石に思案の蟻一匹

 齊藤 良子
ほゝ笑みがこぼれて居りぬ夏帽子
蟻消えし庭のとまどひ逝く昭和

 原  繁子
手負鴨に近づいて行く夏帽子
生涯に一度の誉蟻の道

 木島サイ子
会釈して去りゆく街の夏帽子
急ぐ蟻コロリ掃かれて今朝の庭

 木島 幸子
墓石古りふるさと遠き蟻の道
くやしさを空に投げたる夏帽子

 本田ハズエ
夏帽子若くつくろふ媼達
蟻走るとどまる所決めかねて

 平野 欣治
黒蟻の歩みの早さ飛ぶごとく
夏帽子洗ひざらして二十年

 高橋 みえ
弟をいつもかばひて蟻の列
パナマ帽の父の若き日怖がりし

 鈴木八重子
蝶の死を葬るがごとく蟻の列
焦りなどないと言ひきる夏帽子

 高梨 豊子
草原の風が欲しがる夏帽子
行軍の靴音聞こゆ蟻の列

 中島 勝郎
オープンカーに頬吹かれをり夏帽子
不連続ながら違へず蟻の列


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