21世紀をたのしむ「昴」俳句会
スポンサーサイト
-----------  CATEGORY: スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ページトップへ
リレー俳談 母を詠みゐて  森田 幸子
2008-10-29-Wed  CATEGORY: 昴 9号
リレー俳談

 母を詠みゐて  森田 幸子

  金魚玉母の晩年観てをりぬ (平成十五年)

 今から五年前、母が米寿の年の句である。この頃母はカルチャーに出かけ、
作句を楽しんでいた。
 金魚玉の鈍い硝子のひかりに老いてゆく母の姿が重なり、思わず一句となっ
た。

  母在して何の不満ぞ鏡餅
  子に随くを拒む母在り白牡丹
  卯の花や介護査定を拒む母 (平成十六年)

 まだまだ元気だと自負していた母は、介護査定を強く拒み、家族が説得に大
変でした。庭の卯の花が何故か眩しく感じたことを思い出す。

  きさらぎや母の薬を小分けする
  一の酉母の奢りのディナーかな

 次の年秋、母は卒寿を迎えた。
 まさに誕生日の夜明け前、トイレに起きた母は、布団に躓き転倒、腰を痛め
てしまった。それからの二ヶ月くらいは、腰の痛みに加え低血糖症も重なり、
立ち上がりも難儀な様子で、床に臥せていることが多くなり、母の句は避けて
いた。

  九十の母に真紅のかへり花 (平成十七年)

 漸く快復の兆しを見えた頃、真紅の花に譬えその喜びを表現した。

  きさらぎや母の生薬煎じすぎ
  卒寿なる母もをみなか白牡丹
  母とする蒟蒻問答春炬燵 (平成十八年)

 この頃から物忘れがひどく、同じ質問を何度もするようになり、蒟蒻問答を
連想したのだ。

  卯の花や卒寿の母の薄化粧
  度忘れを母に笑はれゐる炎暑
  さみだれや留守居の母に飴ふたつ (平成十九年)

 雨の日、句会にでかけようとしていた私に、「今日も俳句?」とちょっとさ
びしそうな顔を向けられ、鞄の中から飴玉を二つ母に渡し出かけた。

  甘茶仏母のわがまま聞き流す
  かなかなや母を叱りて哀しかり

 一日でも長く母を詠むことが出来るよう願いつつ。

  笹鳴きや老いても母に甘えたし (平成二十年)


スポンサーサイト
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
TB*URL


余白 Copyright © 2005 21世紀をたのしむ「昴」俳句会. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。