21世紀をたのしむ「昴」俳句会
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光芒集  早瀬 秋彦 選
2008-10-29-Wed  CATEGORY: 昴 9号
光芒集  早瀬 秋彦 選

麦の秋  大島 道雄
霾るや砂漠に消えしロプノール
襟足に香水てふ武器滴らす
青垣の山野辺の道風薫る
サンバ響くメリケン波止場夏きざす
コーランや隊商宿の夕薄暑
一郷の寺と檀家や麦の秋
武者返し日は赫赫と蟻の列

涅槃西風  星 道夫
涅槃西風クレーンの鉄鎖ゆれやまず
大仏の耳が大きくアマリリス
大仏殿に初夏の日ざしを受けて立つ
風が地を離れて白きすひかづら
人生の深みの色の夏落葉
人生の午後は未知数心太
桐の花また桐の花試歩の道

連翹  會澤 榮子
耳遠き夫を追ひゆく羽抜鳥
納骨をすませて来たる麦の秋
荒川の源流暗し谿若葉
花冷や予後のCT内視鏡
連翹をまぶしみ垣を曲りけり
身から出し錆数へをり亀鳴けり
うぐひすや錦江湾の朝ぼらけ

藤咲くや  石塚 恵美子
高枝に小鳥さへづる花曇
水仙や一輪挿しの南部鉄
藤咲くやハイデルベルクの白い壁
バラ添へし英国からのカード来る
北沢に豆腐売り来る木の芽どき
春眠の子を家に置きバスを待つ
筑波路に連なる墓や麦の秋

麦の秋  佐々木 久子
白日の富良野が叫ぶ麦の秋
広め屋が車で通る麦の秋
別所線の一両電車麦の秋
玉杯の歌遥かなり春の月
連翹や斑ら明りの播磨坂
晩酌の父の独白河鹿笛
禅寺の雑木の黙や鐘おぼろ

新茶の光  早瀬 安女
トマト食む少女や瞳輝かせ
老いてなほ虚飾の性さがや汗匂ふ
供へたる母の好みし新茶の香
鯉幟勇気を競ふ里の子等
座繰糸引きゐし母よ汗光り
大蓼や地に働きし悔あまた
梅干しの味深まりし朝餉かな

水温む  柴田 千鶴子
道端に今年も咲きし菫かな
土筆摘み袴はぎ競ふ童かな
水温む役目果せし温首相
跳ねて来る新入生のランドセル
桜咲いて人影搖らぐ目黒川
薊咲く夢よ再びキャンディーズ
化石てふ曙杉の木の芽かな

友の死を悼む  川崎 忠康
また一人昔甲飛の桜散る
柔やわら猛も者さ惜しまれ召さる走り梅雨
老鶯や生き長らへて友葬おくる
五月雨や通院澁る病める妻
春風や過疎化の里に家普請
花ふぶき浴びゆく児等のランドセル
老いらくの昔語りや花筵

花あかり  木島 サイ子
売られゆく牛の長啼き梅白し
くぐりてもくぐり抜けても花あかり
母の日の母とはなれずバラの部屋
世に未練なきごとくなり春落葉
天心に月あり森のコンサート
ハーレムの丘に溜まり場野馬肥ゆる
墓参して遠まはりする菊日和

鵜戸山  水元 榮子
若水を汲むや気持ちを引き締めて
節分の護摩の炎明り弾け飛ぶ
山削るショベルの響き春近し
鵜戸山の閻魔の眼冴え返る
梅咲くや鵜戸にあまたの磨崖仏
春浅き水辺明りに鷺一羽
手の甲に老い兆しをり山笑ふ

白寿の化粧  本田 ハズエ
永訣の白寿の化粧冬晴るる
錦秋の七浦峠眩しかり
溜池の浅にけむる蜷の恋
鰤大根好みの味に夫笑顔
笑みあふる米寿の姉や万年青の実
弥五郎の昔語りやゆきもち草
過疎の地の風はらみをり鯉のぼり

目白  藤原 淑子
恋ボタル遠くなりけり畦の闇
かすむ空白き波あり都井岬
春浅き生命輝く双葉出づ
春闘にこの世の地獄見つめをり
花影に目白のひそむ家路かな
様変る世の暗転や春嵐
式終へし安堵や雪の浅草寺

更衣  原 里歌
葉から葉へサーカスに似て青蛙
繰り返すこの世の節目更衣
我も行く君の語りし紫陽花路
ながながと猫のびきつて昼寝かな
自動車のライトに浮かぶ曼珠沙華
銀漢や義理てふ重きものありぬ
小苺や障害の子の目の愛し

ケアハウス  島田 ミネ子
ケアハウスに帰心の老いや春浅し
老い母のミシンの音や春浅し
見守れるわが家の歴史雛飾る
湯豆腐に過ぎゆく刻を惜しみけり
若水にいのちみなぎる生花群
春風や干されて踊る白タオル
水餅やレシピに悩む主婦あまた

函館  立川 明朗
春吹雪たちまちかすむ五稜郭
函館の雪残る坂領事館
祖父在りし函館教会春の日に
帰る日の近き白鳥嘴上げて
花の下輪になりはぬる園児たち
えごの花散り初め星座見るごとく
新緑や母に抱き付く女の子

祭の知らせ  樋口 栄子
吹かれつつ木の芽の光る播磨坂
枝先の匂ひに咽せて剪定す
家ごとの夕餉の匂ひ春の月
路地裏に咲く連翹の花明り
常備薬飲み忘れたる別れ霜
九重の大吊橋や滝光る
故郷の祭の知らせ届きたる

夏祭  内藤 潮南
半月に響く夜宮の手締めかな
メトロ降り祭囃子の中にをり
雷門揃半纏神輿渡御
路地行くや母子で引きし山車の列
仲見世を坩堝と化して神輿揉む
二の腕を見せて解きける祭髪
祭髪解きて少女の顔となり

春光  山地 定子
無き智恵を絞りて一句春灯
挙手の礼して友征きぬ昭和の日
手話の娘の舞ふ様な指春温し
レトロなる路面電車や五月来る
落人の影曳く里や月朧
春光や母の残せし和綴の書
鑿跡も粗き佛像春灯

新緑  北島 美年子
ペンギンのごと歩む児や山笑ふ
散骨を望む母なり花吹雪
囀や内弁慶は親ゆづり
しなやかな竹のものさし昭和の日
新緑や鎖骨美人とすれちがふ
骨密度平均値なり新樹光
くちなしの螺旋ほどけて匂ひけり

屋久島  小能見 敦子
くぐりゆく屋久島の径涼しかり
屋久島へ遺影連れゆく夕薄暑
老鶯は迷ひなきかに声澄める
風生れて金の波だち麦の秋
西瓜の花咲きし行灯囲ひかな
種撒きて自動水掛け見廻れる
麦刈を終へざるままの梅雨入かな

青嵐  藤沢 正幸
遠筑波動かぬ雲や田水張り
触るるものみなやはらかし山若葉
鉄線花蔓の行方の定まらず
ばら園の薔薇のアーチで始まれり
青嵐絵馬堂の絵馬騒ぎ出す
雲の峰神の山より立ちにけり
入道雲掴みかからんばかりなり

単衣着て  中島 勝郎
涼をとる古利根ゆつたり流れけり
鈴本に受け継ぐ伝統夏の宵
蛍舞ふ源平かつせん彩の里
さつき咲き古稀を迎へし今朝の風
単衣着てオペ待つベンチ言葉なく
手術終り心身ともに五月晴れ
退院の渋滞に遇ふ薄暑かな
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