21世紀をたのしむ「昴」俳句会
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星霜集 早瀬 秋彦選
2008-10-30-Thu  CATEGORY: 昴 9号
星霜集  早瀬 秋彦選

余生  大竹 仁
撫で肩の余生となりし更衣
余生なほ目立ちたがりや葱坊主
花菖蒲にはか絵師にはなりきれず
短距離の選手さながら羽抜鳥
愛憎をかくしきれずに飛ぶ螢
地に触れし千古の時空藤の房
百声の蛙田水の張りにけり

絵馬  小山 けさ子
ひと間だけともりてをりぬ寒椿
若人の書く絵馬瞳輝きて
野島崎の白き灯台寒明くる
沈丁の香に目覚めたる通夜帰り
剪定に消えゆく枝の行方かな
鶯や雨後の修善寺坂がかり
遠野火の能登千枚田鳶の笛

夏衣  鈴木 八重子
マラソンにふくらむ街や山笑ふ
約束を違へし昔鳥雲に
若葉風老いらくの身に沁み透る
新茶くみ同じこと訊く人とをり
枷を負ふあきらめの日々蝸牛這ふ
気構へも新たに衣更へにけり
淡泊に生きて八十路の夏衣

春の月  井上 元
連翹の風に乱るる花明り
大和には御仏多し春の月
亡き夫と茶を汲む八十八夜かな
流れくる神輿納めの木遣唄
菅公の「断腸」の詩碑藤白し
渡月橋を渡る下駄の音夏の月
新緑や奇岩さばきの櫂軋む

春の雪  石井 深也
病床の妻の戯れ言春浅し
湯豆腐をつつき世相を憂ひをり
荼毘を待つしじま明りに春の雪
菜の花の広がる果てや海光る
亀鳴くや老いの一念ゆらぎをり
ゆつたりと知りゆく余生山笑ふ
陽炎に己れの老いを見つめをり

花時計  國分 利江
算盤の梅雨にきしみし五つ玉
馬買ひの車きてゐる母子草
足長の蜘蛛の織りゆく幾何模様
春雷にはげしく踊るフラメンコ
北国のサルビアあかり花時計
梔子や夫に語らぬ事もあり
聖書あるホテルの机五月尽

花水木  林 美智子
春一番埴輪もまぶた閉づるやも
折りがたき早蕨深く頭を垂るる
川痩せて片州に春の番鴨
花冷えや風車は要閉じしまま
中天に風押し上げて花水木
菜の花やゆるきカーブのローカル線
夕菅や山湖音なく帳ひく

春朧  久保田 シズヲ
芽柳のほぐれて風の生れにけり
切り株の程よき座席落花浴ぶ
大梯子立てゝ庭師の音さやか
春泥の轍の光る坂がかり
出合ひより別れの多き花の冷え
笹鳴きの影なき声を聴いてをり
余生とは未知の歩みや春朧

若葉光  田中 洋子
宅配夫忽と消えたる夜の朧
幼ナ顔のネクタイ赤し卒業す
フェルメールの少女振り向く若葉光
薄目して鳥海山の笑ひをり
莢付のグリンピースや春浅し
娘がくれしカーネーションの青さかな
身ほとりに母ある気配夕河鹿

梅雨  伊勢谷 峯雨
グラスに映るテレビの影や梅雨の夜
梅雨銀座万華鏡めく尾灯かな
梅雨空の暗きをよぎる燕かな
火取虫翅音たかく落ちにけり
五月雨やときに明るき空の色
五月雨に音なく夜の明け染めし
エジンバラの五月の空やバクパイプ

泉  篠崎 啓子
源流は一樹の下の泉かな
点と線のリハビリ一日雨蛙
獣めく人の行き交ふ町薄暑
ゴンドラに委ね入笠遠郭公
縄文人踏みし捌けみちえごの花
廃校の校門鉄棒草いきれ
雨乞ひに加はる陸軍伍長の碑

晩年  原 繁子
晩成と褒めそやされし朧かな
晩年の掌に春光を火種とす
落慶の春蒼天に鴟尾光る
われを待つ人亡き生家梨の花
戦知らぬ子に語りやる子供の日
メロディーを奏でる絵本さくらんぼ
傘立てに杖もまじりぬ夏期講座

白絣  鈴木 昌子
吹かれゐる白寿の叔父の白絣
花愛でし句友黄泉路へ花の雨
子には子の生き方もあり蓮如の忌
曇り日の多摩丘陵の梨の花
介護して暮らす余生や菊根分
大寒や球たま子こ富嶽へかけ昇る
藤囲む課外授業の子供達

風光る  伊澤 トミ子
もう一度朧の中を逢ひに行く
春深し心淵覗くルオーの画
蕗みそや老いて優しき夫となり
風光るフランスパンと笑ひ声
義仲が駆けし信濃路麦の秋
薔薇散つて献体の時迫り来る
薔薇剪つて別れ話を呑んでゐる

羽抜鶏  谷口 秀子
肩張つて孤独に耐ふる羽抜鶏
仮の世のえにしは淡し鳥帰る
戦争を知らぬ成人式の群れ
寄り添へるもののぬくもり彼岸寺
落城の悲話ある里の桜かな
いくさなき空の輝き鯉幟
出かけゆく二つ返事や春日傘

花みかん  矢野 欽子
澄み渡るチャペルの鐘や春浅し
平戸瀬戸の著き潮目や春浅し
リラ咲くや彼の世の兄の呼ぶかにも
石倉は閉ざされてをり花みかん
子雀のぶつかりながら飛び立ちぬ
大楠の暗がりに消ゆ白き蝶
桐の花正倉院へつづく道

花いばら  木島 幸子
若水の一人茶を点つ安堵かな
白梅や心の棘を悔いてをり
だしぬけに闇のつぶてや春の雹
生かされて一期一会のさくらかな
若鷲のかへらぬ基地やさくらしべ
干潮や孤愁の舟に花いばら
陽炎へる船見つめをり葬終へて

皇居東苑の桜  藤原 香人
春光や厚き扉の桔梗門
馬酔木咲く皇居東苑奉仕人
花ぐもりあをき甍の宮内庁
春の空円しと見上ぐ紅葉山
大内山神のお庭も花ざかり
山下通り桜吹雪の中に佇つ
春昼の遠松風や二重橋

夏柳  福冨 清子
花愛でしひとの通夜なる朧かな
花大根紫けぶる工科裏
勿忘草一鉢ほどの拠り所欲し
春惜しむ古書肆あるじの伏目かな
夏柳オフィーリアの指触るるほど
白山に対してはづすサングラス
終の栖に日々の自在や夕河鹿

十字花  今井 千穂子
汚れなき家族の祈り十字花
白牡丹近づき難き風纏ふ
河骨や一輪天に押し上ぐる
うなだれて咲き落ちてなほえごの花
壺の碑の涙の跡や若葉雨
花屑や瑞鳳殿の鬼瓦
ユングフラウへ次郎の墓碑やお花畑

鳶の輪  渡辺 二郎
捨てまじき傘寿の一徹梅ひらく
地下鉄を乗り継ぎてゆく櫻狩
千鳥ヶ淵の戦没慰霊碑花の雨
春風や身重ナースの夜勤明け
鳶の輪の影の茶店や活き白魚
尿量記入が予後の日課や花水木
一つ家に別離の夫婦菜種梅雨

水温む  吉田 美智子
寒暁の海輝くや漁り舟
泣き虫のここ一番や春相撲
子の顔の泥乾きをり水温む
すかんぽやいがぐりおかつぱとうせんぼ
真青なる空に浮かびし花水木
医者めざす娘の真顔梨の花
麦秋や糸のきらめく糸電話

麦の秋  西田 綾子
ミステリツアーに連れ廻される四月馬鹿
逃げ水や異次元の口開いてをり
SLの煙まみれの花薊
疲れ来し肩寄せ合ひぬ初つばめ
春眠に神の揺らめき道後の湯
鯛さばく春爛漫の讃岐かな
木曾谷の明るくなりし麦の秋

亀鳴けり  橋 みえ
長生きの悲しみ深く亀鳴けり
泥羽根の濡れ光りをり初燕
難聴の耳に問はれし花の冷え
サッカー場の空つつ抜けに揚雲雀
橋いくつ数へて渡る麦の秋
古りし名の多き山里柿若葉
変声の子らの寡黙や若葉風

油照  平野 欣治
老境の二人で聞きし閑古鳥
侘しさや墓苑の森の時鳥
逆縁に我が建墓して油照
そら豆をむく妻の指萎久し
老残の従軍語る夏の宿
病葉や生きて耕土は人の手に
逝きし子の早き一年盂蘭盆会

水温む  山森 千佳代
光り矢に龍の息吹きや春の闇
五平餅の火にかざす手や春浅し
紙飛行機の来てゐる広場水温む
富士に来て心ふくらむ木の芽どき
すかんぽや玉川上水晴れ渡る
こごみ採る顔にかかりし蜘蛛の糸
風鐸に雲行く影や花薊

一つ紋  山口 梅子
花こぶし結納交はす一つ紋
初刷や生きざま熱き同窓誌
娘の顔に似て来し兎年の餅
霜柱みちくさ園児のくつが鳴る
衒てらひなく語らふ友やふきのたう
無我夢中に生き来て枯野見つめをり
しつかりと生きゆく私からすうり
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