21世紀をたのしむ「昴」俳句会
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詩性探求 4/4
2008-10-01-Wed  CATEGORY: 昴 9号
耳遠き夫を追ひゆく羽抜鶏  會澤 榮子
 次第に年齢の深まりを意識するようになった夫婦の、戯画化された或る日の一コマが浮かんでくる。最近きわ立って耳が遠くなった夫に、日日付き従っている妻としての作者が、それ自身を「羽抜鶏」に寓意している。いつも早足で歩いてゆく夫に遅れまいとして、つまづきながらも追いかけてゆく姿に、一沫の自嘲と可笑しみの思いが搖曳している。

白日の富良野が叫ぶ麦の秋  佐々木久子
 鮮明な一幅の油絵を見るような作品である。作者は或る日北海道富良野の地を訪れて、その広大な原野に延べ広がる麦秋の色彩に心から感動を覚えたと思われる。「白日」という上五を受けての「叫ぶ」という力強い表現の効果が、その感動を直截に伝え、読む側の心に如実な映像を突きつけてくる。擬人法ではあるが端的な表現ゆえに効を奏している。

水温む役目果たせし温首相  柴田千鶴子
 過日来日した温首相と、作者は太極拳を共にしたとのことである。日中友好のさまざまな行事に参加し、無事役目を果たして帰国したその首相の印象は、作者の胸にいつまでも焼き付いているに違いない。「水温む」という上五に据えた季語が、首相の人柄や、にこやかな風姿を思い浮かばせ、語り合ったひと時の追憶に心和む作者の風貌が浮かんでくる。

老鶯や生き長らへて友葬る  川崎 忠康
 〈百姓の生きて働く暑さかな〉とは、江戸の俳人蕪村の作であり、気強く生きる人間の風姿を如実に思い浮かばせる作として有名である。揚句は「老鶯」という季語に悲しみに暮れる己が姿を託し、長い人生を生き抜いて来たことへの複雑な感懐をしみじみと込めている。実直な表現が寸分も飾り気ないために、読む側の心に沁み入ってくる思いがする。

永訣の白寿の化粧冬晴るる  本田ハズエ
 九十九歳の長寿を全うして逝った人を追悼しての作。死化粧がきわ立って見えてくるのは「冬晴るる」という座五の印象的な端的描写から来ていると思われる。「永訣」という上五の据え方もさることながら、余念なく化粧されて送り出される故人の、その風貌までが見えてくる思いがするのは、やはり虚飾のない表現の成果に外ならない。


俳誌「昴」運営基金ご協力ありがとうございました

相澤秀司・伊澤トミ子・井上元・岡田律夫・齊藤眞理子・鈴木八重子・林美智子・
久篤子・内藤宗之・仁木孝子・西田綾子・火野保子・森万由子・山口梅子
(順不同・敬称略)

 ――記――
 一口 一、〇〇〇円(何口でも可)
 振込み先 ㈱新製版昴出版事業部
 振込み口座 朝日信用金庫湯島支店
 西村 充志アツシ
 普通預金 〇一四―〇三八〇九五八
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