21世紀をたのしむ「昴」俳句会
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他誌管見   昴 8号
2008-06-29-Sun  CATEGORY: 昴 8号
他誌管見  岸本 正子

 (耕・海原・雲取・鴻・春野)

「耕」2008 二月号
 主宰 加藤耕子
 発行所 名古屋市瑞穂区石田町一―三六―七
  主宰作品「棹秤」より
 いてふ降る閻魔の使ふ棹秤
 板の間にしんと貼りつく夜の寒さ
 年惜む一日オペラに身を預け
   「樹林集 Ⅰ」より
 落葉して地に明るさを移したる 日比野里江
 割烹着の紐を固めに今朝の冬 山川 和代
   「樹林集 Ⅱ」より
 霜除もなき被爆樹の亀裂かな 重本 泰彦
 黄葉して母校に今も金次郎 水谷 成一
 主宰の選評中に、一句目の重本泰彦氏は「被爆者としての使命を果すべく広島の被爆を終生のテーマとして居られる。」とありますが道理で一読するや強かに胸を打つ何かを感じ取りました。今後ともご健勝にて作句を…。
 “発刊のことば 加藤耕子・有志一同”
 「俳句と文章の雑誌「耕」を発刊いたします。自然を作品の心とし、自己の胸を耕し、みがきあい高らかにヒューマニズムの灯を掲げます。作品にこめられた志が「耕」の風土をより滋味あるものとするよう期して居ります。」
 右の通りの内容の作品の満ちた一誌と存じます。

「海原」2008年 2月号
 主宰 木内怜子
 発行所 厚木市旭町一―二三―三―二〇五
  主宰作品「紅梅」より
 寒の水胃の腑へ喝を入れにけり
 紅梅や齢のことはさておきて
 いちめんの縞目こよなき麦生かな
   同人作品「珠玉抄」木内怜子推薦より
 居酒屋のいつもの席に熊手おく 阿部 佑介
 栗干すやひと日に古ぶ新聞紙 龍野よし絵
 日向ぼこ時間長者となりにけり 澁川 君枝
 鮟鱇の箱の形に生きてをり 松永 律子
 烏瓜重さの出でし色となり 本杉 純生
   「海原集 木内怜子選」より
 雑念の吸ひ込まれたる冬の空 小田原和子
 小田原氏の句の主宰評中に、「冬の空のさを伝えるために空とは全く異なる「雑念の吸ひ込まれ」と言い、読む側に冬空のイメージをゆだねたところに良さがあります」とあります。読者それぞれの。
 隣の灯見ゆる北窓塞ぎけり 小牧 初実
 小牧氏の句の主宰評の後尾に、「人との交りは難しいものですね。」とありますが…まことに。
 暗默の猫の集会冬満月 滝沢 千代
 ミステリアスな光景が目前に拡がります、冬満月の力は大です、言い得て妙。
 後記の主宰の文中に「近辺の方は直接「海原」の句会に出られるのですから遠くの方々とくらべ、より謙虚に進されますよう期待しています」と珠玉のお言葉が。

「雲取」2008年3月号
 主宰 鈴木太郎
 発行所 西東京市北町三―三―七
  主宰作品「狐火」より
 狐火の山おほかたは蓮如みち
 冬蕨命あるもの吹かれをり
 母亡きをうべなつてをり冬至の日
  豊雲集(同人欄より鈴木太郎選)より
 媛神に産みの力を冬うらら 下條杜志子
 枯萩にみづうみの音ありにけり 鈴木多江子
 初潮の珊瑚の化石拾ひをり 松永 幸子
 霜月の菊坂銘仙似合ふひと 藤 道枝
  積雲集 鈴木太郎選より
 掌中のもの零すまじ萩の風 橋 明子
 空に懸大根の力あり 中村由紀子
 一族の集ひて靜か施餓鬼寺 石川 力也
 橋氏作品の主宰評中に「萩の花はまさしく作者でもあるのだらう。また零してはならぬものは、自分を温めてくれる俳句や言葉でもあらうか。」とありますが、このお言葉もまた零してはならないと存じます。
 雲取十周年俳句大会の模様を記された下條杜志子氏の文中より一部を写記致します、「二百句に近い句は筆者にはどれも確実に前を向いて動いている氣配が読みとれた、巧拙をたがわずこれが「雲取」の原点であり、原動力ではないだろうか。句の姿の後ろから太郎氏の張りのある声が聞こえてくる。」
“雲取誌創刊十周年、おめでとうございます”

「鴻」2008 二月号
 主宰 増成栗人
 発行所 松戸市三矢小台2―4―
  主宰作品「冬まつすぐに」より
 沖に日矢鷹に男のここころざし
 冬まつすぐに麹場のがらんどう
 葱畑の真上の空が妻の空
 凛とした葱は、あくまでも他を引き立ててくれる名脇役で味覚界になくてはならぬ存在。
 このお句から慧津子夫人の御心柄が偲ばれますし、在りし日に真っ白な割烹着で甲斐甲斐しくキッチンにたたれたお姿が目に浮びます。
  蒼韻集より
 目つむりて見えるものあり雪しんしん 後藤 兼志
 冬仕度妻でありしはとほきかな 喜多みき子
  鴻作品集 増田栗人選より
 松笠のウェルカムリース山は雪 水上美津子
 冬りんごだんだん怖くなる童話 滝山  紅
 成人して改めて読むと底にひそむ怖さに慄然と致します。童話だから尚更。冬りんごの季語が心憎く、センスの程が偲ばれます。
  音集 増田栗人選より
 人にある帰巣本能冬の月 門馬 純子
 いつもとほる坂道されど十三夜 山内 宏子
 雪国の子らの明るき九九の声 原田  孝
 日向ぼこどつと笑ひしあとさみし 萩原 良子
 三句目と四句目 齢の大きな差を感じます。(ところで九々全部諳じられるかしら…筆者)
 栗庵閑話の「おでん」で知りました、あの芭蕉が蒟蒻が大好きであったことを。
 主宰の作品抄選評の文中に登場される「針谷定史氏」に教えられました、見事な晩年の生き方を。酸素ボンベを着用されての連載「西行論」の覇氣と熱の籠った迫力、しかし涼しく調った文体の力作に。
 呼吸器のわが息ぬくし冬空 針谷 定史
 エッセー・句・文・他、どれも力を注ぎ込んだ作品であることが読み取れる一誌。

「春野」2008 2月号
 主宰 黛  執
 発行所 神奈川県湯河原町宮上二七四
  主宰作品「夜汽車の灯」より
 ざうざうと山鳴る後の更衣
 枯山となる余すなく日を容れて
 湯ざめせし眼に遠い夜汽車の灯
  「日の匂ひ ながさく江」より
 胡麻を打つ日のぬくもりの一莚
 日の匂ひ集めて蓮の枯れゐたり
 銀杏ちる母と子に日のベンチかな
  「当月抄2月号 推薦作品」より
 冬波のひたすら白を押し通す 松本いさを
 御符貼つてあり白鳥の餌付け小舎 竹内 靜子
 冬ざれの村に全き月の出て 石川いち子
 紙幣四つ折一葉の忌なりけり 佐野日紗子
“黛 主宰の文中より”
 「私は句会では参加者の選句のありようにもっとも注意を払う。誰がどんな選をするか、その選のありようだけで、ほぼその人の資質と将来性が推量できるからである。」
“特別作品鑑賞 ながさく江”より
 掌の冷えてゆくなり曼珠沙華 椿  文恵
 「借りものでない独自の感性で、心象の彼岸花の中枢に触れた句…以下略…。」
“季語の周辺「春寒」田辺栄一”より
 春寒の白粉解くや掌 内藤 鳴雪
 「化粧に余念が無い女人というのは男性にとっていつの時代もエロティックに映ります。私にも女性のエロスを捉えた一句を成したい願望もありますが、そのためには駄句を幾つも重ねなければならないでしょう。」
 “マフラーの中にしみこむ朝の風 小六 瀬川 麻里”
 小一から中三まで栴檀の双葉も多数の芳しい「春野」誌。


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