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沖縄の季語の魅力  道官 佳郎
2008-06-29-Sun  CATEGORY: 昴 8号
沖縄の季語の魅力  道官 佳郎

 毎年、本土を桜前線が北上する頃になると、私は沖縄の島々に吹く湿気を含んだ生暖かい風と、その下で白い波頭を見せる珊瑚礁の美しい風景を想い出す。
 沖縄でいう「うりずん」の季節の到来で、沖縄独得の自然の季感が島をつつみ、心を和ませるシーズンの到来を感じるからである。
 私は現役時代、昭和五十二年から三年間沖縄に在勤した想い出があるが、この沖縄特有の自然と気候、その中で暮らす人々の生活習慣の豊かさに、今でも限りない愛着を覚えている。
 沖縄と言えば、美しい海や空の観光の島、あるいは沖縄戦の慰霊の島、米軍基地の島など多面的なイメージがつきまとうが、もう一歩踏み込んで、この島に住む人々の魅力ある風習やしきたり、そして亜熱帯特有の動植物などの実態については、案外知られていないことが多い。
 そうした中で、沖縄の季語の存在はまことに貴重である。私は沖縄在住時代に、地元の琉球新報の「琉球俳壇」欄を度々読んでいたが、かなり教えられることが多く、沖縄の友人達との交遊にも大変役に立った経験がある。
 以下この時季の季語をいくつか書き抜いてご參考に供したい。

 「うりずん」
 うりずんは、うりじん、おれづみ、うりづみ等とも言われる。陰暦の二、三月頃麦の穂の出る頃の降りみ降らずみの時期である。
 琉歌に「うりつみウリズンのヌ夜雨ユアミ 節々も違ぬシチシチンタガン 苗代田のナシルタン稲ニ ヤや 色の清さイルヌチユラサ」とある。
 年中暖かい沖縄では、四季のけじめがはっきりしないので、春という語が元来なかったためか定説がなく、彼岸明けから立夏前までの曇や雨の日を指したり、現在では花曇に似た気候に使うことが多いようである。
 この時期、首里の金城町の石疊などを散策すると、そこはかとない情緒がある。
  うりずむや黒潮匂ふ畠を打つ  神元翠峰
  うりずんや月見えてゐて雨降れり  小熊一人

 「浜下はまおり」浜下はまうり
 陰暦三月三日、各戸で蓬餅を仏壇に供え、そのご馳走を持って浜辺に下り、手足を海水に浸して不浄を清め、健康祈願をしてから、潮干狩などで楽しく遊ぶ習慣である。
 美男子に姿を変えた蛇の種を宿した娘が、海の潮で払い流したという伝説に由来するらしい。観光で名高い宮古島近海の「八重干ヤ エ ビ セ」もこの頃のことで、観光客を交えた「浜下り」を行うので有名である。
  浜下りや紅の点うつ島の菓子  平本魯秋
  浜下りのみやらび眉をうすく塗り  兼城義信

 「草蝉くさぜみ」
 若夏を告げる昆虫に草蝉がいる。学名イワサキクサゼミである。仙台藩士の二男に生まれた岩崎卓爾氏が明治三十一年に石垣島測候所に赴任、発表したもので、体長一センチ足らず、甘蔗や芒などの葉に群れて汁を吸う。チッチッと鳴き出しジージーと鳴く。
  草蝉や漆喰厚き墓の口  小熊一人
  草蝉のまだ昇り来ぬ甘蔗の丈  進藤一考

 「若夏わかなつ」
 四月末の穀雨の頃から五月の初めにかけての時節で初夏の候を指す。琉球古謡の「おもろ」では、うりずんとの対語として使われている。本土復帰を記念したという昭和四十八年の若夏国体も、この言葉を使った。
 若夏ワカメツイがなれば 心ククル浮かされてリティ でかよう真肌苧よマハダラウユ 引フイきやチヤイり遊はアスイ
 (若夏の季節になれば心も浮き浮きとして、さあ乙女の柔肌のように奇麗な芭蕉の糸を引いて遊びましょう)
 まことに沖縄の風土の香り立つ言葉である。
  若夏の魔除獅子シーサーいかる屋根の上  角川源義
  若夏の碧海めぐらす地に棲まむ  矢野野暮

 「梯梧でいごの花」
 奄美大島以南の各島に自生または栽培され、太い枝に刺が密生する。花は長さが七~八センチ位、真紅色の蝶形の花である。
 枝先に小鳥が羽を拡げ樹枝をついばむ様な形で群れてつくのが特色。
 真紅の花が碧空にうかびまことに壮観である。花期は三~五月頃。さんだん花、黄胡蝶と共に、琉球の三大名花と呼ばれ、特に梯梧の花は沖縄県の県花に指定されている。
 公園や街の大通りなどを歩くとき、亜熱帯の太陽に映えて燃えるように咲き、いかにも南国らしい印象を与えてくれる花である。
  花梯梧海に突き出て碑をのぞく  角川源義
  花梯梧星を殖やして夜も炎ゆる  小熊一人

 「月桃げっとうの花」
 方言ではサンニンという。花期は四~六月で、沖縄が梅雨に入る頃から、雨の雫を吸って山野に咲く。花の長さは六センチ位。
 山裾などに眞っ白な花弁が点々と咲く様は見事で、独得の甘い香気を発する。
 葉は餅やおにぎりなどを包むのに利用され、そのうつり香が楽しい。
  月桃の葉づれに洗ふ明日の鍬  平良雅景
  牛鳴いて野の月桃が星まとふ  松本翠果

(引用參考図書 底月城著「南島俳句歳時記」、小熊一人著「沖縄俳句歳時記」)
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